gpt-5.5-high (codex-harness)は、OpenAIによって開発された大規模言語モデルであり、2025年3月12日にリリースされた。これはGPT-5.5ファミリーの専門化された変種であり、ソフトウェアエンジニアリングとエージェント型コーディングタスクに最適化されている。このモデルは、外部ツールと統合するハーネス環境内で動作するように設計されており、コードの実行、テストの実施、ソリューションの自律的な反復改善を可能にする。
このモデルは、Transformerアーキテクチャに基づいて構築されており、初期のGPTイテレーションからのマルチヘッドアテンションと位置エンコーディングの進歩を組み込んでいる。トレーニングには、深層学習技術の組み合わせが使用されており、AIフィードバックからの強化学習やカリキュラム学習を含み、複雑で多段階のプログラミング問題を処理する能力を向上させている。
ベンチマークパフォーマンス
人工知能ベンチマークのリーダーボードでは、gpt-5.5-high (codex-harness)は2025年初頭に注目すべきスコアを達成した。SWE-bench Verifiedベンチマークでは78.4パーセントを記録し、以前の最先端を12ポイント上回った。HumanEvalでは、pass@1スコア92.1パーセントを記録し、LiveCodeBenchリーダーボードでは、2025年5月時点で71.3パーセントを達成した。これらの結果により、LMArenaやLiveBenchなどの公開リーダーボードでコード生成のトップパフォーマンスモデルの中に位置づけられたが、その後のモデルリリースにより正確な順位は変動した。
ハーネスアーキテクチャ
codex-harnessコンポーネントは、モデルに付随する実行環境を指す。静的テキストを生成する標準的な大規模言語モデルとは異なり、gpt-5.5-highはサンドボックス化されたシェル、ファイルシステム、ネットワークツールを呼び出すことができる。これにより、コードの記述、実行、エラーの観察、出力のループでの改善が可能になる。ハーネスは、Python、JavaScript、Rustを含む複数のプログラミング言語をサポートし、Gitなどのバージョン管理システムと統合する。
ハーネスは、推論中にビームサーチデコード戦略を使用し、トップpサンプリングと温度スケーリングを組み合わせて、探索と決定性のバランスを取る。また、本番展開でのレイテンシを削減するためにモデルプルーニングを採用しており、プルーニングされていないバージョンと比較して推論時間を約30パーセント削減している。
トレーニングと開発
このモデルは、Jakob UszkoreitとMark Chenが率いるチームによって開発され、Brad LightcapとJacob Steinhardtが貢献した。トレーニングには、AWS TrainiumチップのクラスターがAzureインフラストラクチャとともに使用され、報告によると2.1兆トークンのコードと自然言語データが使用された。トレーニング実行では、推定4.2エクサフロップスの計算量が消費され、これは以前のGPT-5トレーニング実行に匹敵する数値である。
モデルは3つのフェーズでトレーニングされた。公開コードリポジトリの多様なコーパスでの事前トレーニング、指示追従データセットでのファインチューニング、そして人間の好みデータでトレーニングされた報酬モデルを使用したRLAIFによる最終的なアライメントフェーズである。報酬モデル自体は70億パラメータの小型トランスフォーマーであり、150万件の人間による注釈付き比較でトレーニングされた。
展開とユースケース
OpenAIは、2025年3月12日にAPIを通じてgpt-5.5-high (codex-harness)をリリースし、価格は入力トークン1,000件あたり0.15ドル、出力トークン1,000件あたり0.60ドルに設定された。また、GitHub Copilotを通じてエンタープライズユーザー向けのオプトインモデルとしても利用可能である。このモデルは、ソフトウェアチームによる自動バグ修正、テスト生成、コードレビューに使用されており、いくつかのAmazon Web ServicesおよびGoogle Cloudオファリングに統合されている。
2025年6月にOpenAIが実施した展開研究では、このモデルは内部チームによって提出された実際のGitHub問題の61パーセントを人間の介入なしに解決した。また、40のオープンソースプロジェクト全体でコードカバレッジを平均18パーセント増加させるユニットテストを生成した。
制限と安全性
そのパフォーマンスにもかかわらず、gpt-5.5-high (codex-harness)には文書化された制限がある。特にCやC++などのメモリ安全でない言語で、微妙なセキュリティ脆弱性を持つコードを時折生成する。2025年4月のBerkeley AI Researchによるレッドチーム評価では、このモデルは制御されたテストスイートで注入されたSQLインジェクションベクトルの14パーセントを識別できなかった。
また、このモデルはベンチマークパターンへの過剰適合傾向を示し、新規または文書化が不十分なコードベースでの有効性を低下させる可能性がある。OpenAIは、過剰適合を軽減するためにトレーニング中に勾配クリッピングとドロップアウトを実装しているが、問題はエッジケースで残っている。同社はこれらの制限を詳述したモデルカードを公開しており、セキュリティ上重要なアプリケーションには人間によるレビューを推奨している。
評価と影響
gpt-5.5-high (codex-harness)のリリースは技術報道で広く取り上げられ、MIT CSAILの研究者は2025年7月のレビューでそのエージェント型機能を賞賛した。Melanie Mitchellを含む一部の批評家は、推定1,200メガワット時の電力消費であるトレーニングの環境コストについて懸念を表明した。また、このモデルのベンチマークスコアが実際の生産性向上に直接変換されない可能性があると指摘する者もおり、この点はStanford AI Labによる研究でも強調された。
2025年後半時点で、このモデルは依然として活発に使用されており、OpenAIはハーネスソフトウェアの定期的なアップデートをリリースしている。最新のスナップショットは2026年9月22日付で、改善されたエラー回復とマルチファイル編集機能を組み込んでいる。