Encordは、データアノテーション、ラベリング、モデル評価のためのツールを提供する、データ中心のAI開発プラットフォームである。このプラットフォームは、機械学習および人工知能アプリケーション向けの高品質なトレーニングデータセットをチームが構築・管理することを支援するよう設計されており、データパイプラインの効率性と精度の向上に重点を置いている。
2020年に設立されたEncordは、データ品質がAI開発における主要なボトルネックとなることが多いという認識から生まれた。同社は、データの取り込みやキュレーションからアノテーション、モデルの反復に至るまで、データライフサイクル全体に対応する一連の製品を提供している。そのツールは、コンピュータビジョンチームや、ビデオ、画像、マルチモーダルデータセットなどの複雑なデータタイプを扱う組織によって使用されている。
歴史と設立
Encordは、2020年にEric LandauとUlrik Stig-Hansenによって設立された。創業者らは、特に深層学習モデルに取り組むチームにとって、現代のAIデータワークフローの規模と複雑さを処理できるプラットフォームが市場に不足していることを特定した。同社は英国ロンドンに本社を置き、その成長を支援するために多額のベンチャーキャピタル資金を調達している。
初期の製品は、データの時間的性質のために特に困難な分野であるビデオアノテーションに焦点を当てていた。時が経つにつれ、Encordは画像アノテーション、モデル評価、アクティブラーニングループを含むように機能を拡張し、包括的なデータ開発プラットフォームとしての地位を確立した。
主要製品と機能
Encordのプラットフォームは、いくつかの主要モジュールを中心に構築されている。主力製品であるEncord Annotateは、データのラベリングのための協調インターフェースを提供する。バウンディングボックス、ポリゴン、キーポイント、セマンティックセグメンテーションなど、さまざまなアノテーションタイプをサポートしている。また、フレーム間のオブジェクト検出などのタスクに不可欠なビデオトラッキングと補間の機能も含まれている。
2つ目の主要コンポーネントはEncord Activeであり、データ品質評価とモデル評価のためのツールキットである。このモジュールにより、ユーザーはデータセットを分析して、エラー、エッジケース、バイアスを特定できる。また、アクティブラーニングのためのツールも提供し、チームがラベリングに最も有益なデータポイントを選択できるようにすることで、全体的なラベリング作業を削減する。
このプラットフォームは、Amazon Web Services、Azure、Google Cloudなどの一般的な機械学習フレームワークおよびクラウドサービスと統合されている。また、プログラムによるアクセスのためのAPIとSDKも提供しており、チームがEncordを既存のワークフローに組み込むことを可能にしている。
技術とアプローチ
Encordは、モデルアーキテクチャだけではなく高品質なトレーニングデータの重要性を強調する、データ中心のAI開発アプローチを採用している。このプラットフォームは、モデルによる事前ラベリング、自動品質チェック、一貫性スコアリングなど、人間のアノテーターを支援するためのさまざまな技術を使用している。これらの機能は、アノテーション時間の短縮とラベル精度の向上に役立つ。
モデル評価に関しては、Encord Activeはメトリクスを活用して、障害モードとデータ分布の問題を表面化させる。データ拡張分析やエラー帰属などの技術を使用して、モデルが十分なパフォーマンスを発揮しない理由をチームが理解するのを支援する。また、このプラットフォームはカリキュラム学習戦略もサポートしており、チームがモデルの収束を改善する方法でトレーニングデータを構造化できるようにする。
市場での位置づけとユースケース
Encordは、Scale AIやLabelboxなどの他のプラットフォームを含む、データアノテーションおよびAI開発分野で競争している。しかし、Encordはデータ品質への焦点とアクティブラーニング機能を通じて差別化を図っている。このプラットフォームは、スタートアップから大企業まで、ヘルスケア、自動運転車、ロボティクスなどの分野にわたるさまざまな組織によって使用されている。
ヘルスケア分野では、Encordは疾患検出などのタスクのために、X線やMRIなどの医用画像データのアノテーションに使用されている。自動運転車業界では、このプラットフォームは知覚モデルをトレーニングするためにセンサーからのビデオデータのラベリングを支援している。同社はまた、農業、製造業、セキュリティアプリケーションでも採用されている。
資金調達と成長
Encordは、著名な投資家から多額の資金を調達している。2022年、同社はCRVが主導し、Y Combinatorや他の投資家が参加した2000万ドルのシリーズAラウンドを発表した。これに続き、2023年にはSapphire Venturesが主導する3000万ドルのシリーズBラウンドが行われた。この資金は、エンジニアリングチームの拡大、製品機能の強化、顧客基盤の拡大に使用されている。
2024年現在、Encordは大規模言語モデルおよび生成AIワークフローのサポートに焦点を当てて、プラットフォームの拡張を続けている。同社は、RLHF(RLHF)のためのツールと基盤モデルのためのデータキュレーションに投資しており、マルチモーダルおよび生成AIシステムへの業界全体のシフトを反映している。
関連項目
- データ拡張
- アクティブラーニング
- コンピュータビジョン
- データ中心AI
参考文献
- Encord公式ウェブサイトおよび会社ブログ。
- Encordの資金調達ラウンドに関するTechCrunchおよびVentureBeatの記事。
- データアノテーションプラットフォームに関する業界レポート。